航空業界と鉄道業界の2018年予測はどのようなものでしょうか?
最新のGlobal Business Travel(GBT) Forecastによると、グローバル規模で急速に飛行機需要が増えているとされています。
航空運賃は各地域で上昇しますが、一部の区間での過剰供給や、格安航空会社(LCC)の積極的な拡大、歴史的に見て低い原油価格などの要因により、価格上昇が抑制されるでしょう。穏やかな航空運賃の上昇ですが、附随的な料金の拡大によって航空会社の売上げは増加し続けると予測されています。
その他2018年の航空業界のトレンドとして、大手航空会社がLCCとの価格競争の対抗策として取り入れている価格の細分化やエコノミークラスとビジネスクラスのギャップを埋めるプレミアムエコノミーの普及などについてレポートで言及しています。
また、エアプログラムの重要な指標、飛行機に関する出張規程に取り入れるべき手法や各地域のトレンド予測などについても記載しています。
こちらのリンクからフォームにご記入いただくとGBTレポート全体をダウンロードできます。
アジアパシフィックと日本に関連する部分の日本語サマリーについては、以下をご覧ください。
アジアパシフィック全体の航空業界予測
需要が大きく増加しますが、航空会社がビジネス拡大し、新しい供給があふれるため、アジア地域全体で運賃はわずかな上昇が予想されています。2017年には、国内レベルでは9%近く需要が増え、有償旅客キロ数で中国とインドは2桁増加しています。この伸びは2018年には少しペースダウンしますが、両国での急速な経済成長と中流階級の広がり、政府の好意的な政策により需要は地域全体で引続き堅調です。日本とオーストラリアでは比較的横ばいです。日本の航空業界予測
日本の経済は過去2年堅調でしたが、賃金の低い伸び率と労働力の減少からインフレ率が低く、個人消費と投資においてわずかな改善しか見られませんでした。政府の景気刺激策の効果が薄れ、第32回夏季オリンピック招致に関連した投資は円高により相殺されるため、2018年の経済生産は、ペースダウンするでしょう。
発達した高速鉄道網は国内での飛行機移動の需要を限定的にしてきましたが、規制緩和とLCCの存在の拡大が飛行機運賃の値下がりにつながり、いくつかのルートでは飛行機での移動が安価な選択肢になっています。それによって2017年は国内旅行の需要が大きく伸び、第3四半期には6%以上の伸びとなりました。しかし、有償座席利用率は比較的低く、日本で初めて既存の航空会社グループと提携をしていない国内便LCCであるAirAsia Japanの最近の参入により運賃は横ばいになるでしょう。
2017年にはビザ発給要件の緩和措置と好意的な為替レート、インバウンドLCCのネットワーク拡大により5年連続日本への旅行客が増加しました。この傾向は2018年にも継続し、アウトバウンドの交通量は横ばいになると予想されます。日本航空(JAL)と全日空(ANA)はどちらも国際線の収容可能数を拡大予定ですが、急速に成長するインバウンドと目標としている交通量が同程度となるかまだ分かりません。JALは2011年の破綻に関連する政府の拡大規制が終了し、ジョイントベンチャーパートナーのアメリカン航空とアジア-北アメリカ間ルートにおける存在を強めようとしています。
通貨の為替変動を考慮しない場合、国際線とアジア地域内の運賃は横ばいかわずかながら下降する予測ですが、為替の動きが国内の価格に影響することもあります。アジアパシフィック全体の鉄道業界予測
HSR(High Speed Rail/高速鉄道)には比較的遅れての参入ですが、中国では、失われた時間を取り戻す以上の発展をしています。世界のHSR全体の3分の2以上の収容力を誇るそのネットワークを50%以上拡大し、2020年末には全体で18,000マイル以上にする開発が進行中です。高速鉄道の合計距離は、2025年には23,612マイル、2030年には27,962マイルになるでしょう。
中国のHSRネットワークの発展は広大な国土を飛行機でつなぐことの現実的な限界を意味しています。中国の鉄道は南北方向と東西方向の鉄道が長江デルタ(上海)、珠江デルタ(広州)と環渤海経済圏(北京)の主要都市集合体を縦横に走る格子状に発展しています。その素晴らしいところは、主要な中国の都市をカバーしている点で、旅行者が主要な目的地に6時間以内に到着することができます。開発が完成すると、1億人以上、80%以上の中国の都市がHSRにアクセスすることができるようになります。
日本と韓国では、非常に発達しているHSRネットワークのおかげで、出張者は飛行機にとって代わる便利で評判の良い移動手段を選択することができます。2017年には、韓国はソウルと釜山をノンストップでつなぐプレミアム特急列車が導入され、乗車時間は2時間以内になりました。
最近の経済対策として、政府は東京-長野間は2027年、東京-大阪間は2045年に開通予定の超高速リニア新幹線に融資予定です。時速350マイル(時速563キロ)で走るとされる新しい路線により移動時間が3分の2縮まるでしょう。
中国、日本、韓国以外のHSRプロジェクトは限定的で、シンガポールとクアラルンプール間、ムンバイとアフマダーバード間の新路線が建設中ですが、10年以内の開通予定はありません。インドの鉄道網は特にアップグレードが必要で、インフラの多くは1947年の独立以前からのものです。当然のことながら、インドの旅行客は飛行機を選ぶようになっており、世界で最も成長する航空セクターであることへ拍車をかけています。