今こそ企業の出張管理担当者が新しい時代に向けた出張管理プログラムを準備する絶好の機会です。ここでは、確認しておきたい7つのポイントをご紹介します。
1.危機管理の弱点補強
2020年、一部の企業は、従来の危機管理プログラムに弱点があることを発見し、一方で経営層は、危機管理の重要性を認識しました。出張管理やセキュリティ担当の部署は、今までの危機管理体制で何が機能し、何がしていなかったのかをしっかりと見直し、今後はより強力な体制を構築する必要があります。
まずは出張者の居場所を把握できていたか確認しましょう。確認の手順やテクノロジーに問題なかったでしょうか?出張者への連絡方法に問題はなかったでしょうか?コミュニケーションを取るのは簡単でしたか?会社は出張先で足止めされた出張者をどのようにサポートしていましたか、また今回の経験を今後に生かすために何ができるでしょうか。出張者に対して、常に渡航や健康に関する最新情報状況が提供され、自分の置かれている状況の把握ができる状態だったでしょうか。
より深く理解するために出張者へアンケートを実施すると、認識の差があることを発見するのに役立ちます。また、この機会に、出張者のプロファイル情報が最新であることを確認したり、出張規程が存在する理由や、出張規程を守ることが出張者自身を守ることに繋がるという点を理解してもらうなど、普段見過ごしがちな業務を優先するのも良いでしょう。
2.新しい時代に合う規程の作成
企業は、出張中の従業員の居場所を把握する必要があります。また、今後はリスクの高い目的地への不必要な出張を減らすために、出張の目的地をモニタリングすることも必要になります。事前承認ツールの技術を利用することで、企業は航空券発券前に従業員の出張旅程を確認することが可能になります。リスクの高い目的地への出張が予約された際に自動的にアラートが出るように設定することもできます。
企業は各国や航空会社が制限を緩和し始めた後、今後出張をどのように管理するか今から計画しておく必要があります。また、従業員側でも、サプライヤーのリファンドやバウチャー(訳注:航空会社等が返金などの代わりに発行する金券)などの取り決めがどのようなしくみになっているのか知っておく必要があります。海外にいる従業員を本国に帰還させる取り組みが始まった当初は、会社指定の予約方法以外で予約した従業員の所在を特定するのが困難な企業もありました。規程の遵守とそれを実施するための戦略が、今後は改めて重要になってきます。
3.サプライヤー契約の内容と戦略の再検討
サプライヤーの収容可能数や空き状況(訳注:1便あたりの提供座席数が間引かれて減少することなどを想定)が変化する中で、企業の出張管理プログラムは、変わり続ける供給と需要、価格を考慮しながら、ソーシング戦略を適応させていく必要があります。今こそ、サプライヤーと話し合いの場を設けて、お互いに有益な方法を見極めるのに良い時期です。
運賃が下落したことで、企業にとっては低い価格を固定するチャンスになります。Dollar Fight Clubによると、9.11後(訳注:2001年9月11日ニューヨーク同時多発テロ事件)や世界的な金融危機後の航空運賃価格を分析した結果、2021年には航空運賃は35%下落するいう予測が出ています。比較材料として、航空運賃は9.11後に18%、金融危機後には21%下落しています。ホテルも宿泊料金を引き下げる可能性が高いですが、それよりも、柔軟なキャンセルルールや将来の宿泊時の無料アメニティなどの追加サービスの交渉に、より積極的になる可能性もあります。
企業はまた、出張者の健康と安全を促進する取り組みなど、出張管理プログラムの新たな優先事項をサポートするために、サプライヤーがどのような取り組みを行っているかを評価する必要があります。
4. 出張の増加に備えての出張者側での準備
出張需要の増加に伴い、移行と調整の時期がやって来ると思われます。各国はそれぞれ異なるタイミングで制限を緩和するでしょうし、サプライヤーのガイドラインが頻繁に変更される可能性もあります。健康状態の確認方法やソーシャルディスタンスの取り方は、国、空港、ホテル、駅によって異なるかもしれません。
企業の出張管理担当者は、常に最新情報を把握し、従業員に安心感を与えるためにするべきことをきちんと実行していく必要があります。そのためには、出張者からのフィードバックを積極的に集め、出張者の安全性を高めるために利用できるツールについて出張者を教育し、渡航の最新情報や注意事項をスムースに伝える手段を持つことが必要です。予約方法についても、安全第一の考え方と福利厚生の取り組みを優先して評価されるべきです。
5. 新しいニーズに合わせたサービスやテクノロジーの再設計
企業は、従業員が会社指定の予約方法以外で出張予約することのリスクを認識するようになってきており、規程遵守や出張管理プログラムの変更を促進するのに役立つソリューションに関心を持つのと同様、出張者がどこから来てどこに行っているのかを、より目に見える形で提供するサービスやテクノロジーを求めています。
手始めに、現在利用しているツールを検証し、特に危機管理の領域でのギャップや弱点に対処すると良いでしょう。また、出張者にツールから享受できる安全面でのメリットを理解してもらうことで、会社指定の方法ですべての出張を予約する動機付けにすることも重要です。
選択肢を検討する際に我々がお薦めするのは、断片的な出張サービスとならず、一貫したサービスの提供となるような、多様かつ統合されたサービスの提供を受けることです。また、企業の出張管理プログラムにおいては、特に出張中の緊急事態発生時に、より直接的な支援を必要とする出張者に対応できるよう準備する必要があります。
6.出張管理プログラムの価値を再定義
出張需要の変化により予算が大きく変動し、企業は新しい環境に適応するために支出戦略を見直す必要に迫られています。コスト削減と効率性を重視する傾向が強まる中、出張管理プログラムの最適化に焦点が当てられ、サプライヤーやTMC(トラベルマネジメントカンパニー)を集約することを検討する企業も出てきています。
今後、出張管理プログラムの価値は、コスト削減以外の要素によって定義されることが多くなってくると思われます。企業は、サービス提供者が規程の変更や危機管理の取り組みをどれだけサポートできるかという点や、出張の全行程を通じて出張者の安全が確保されるか、連絡を取れるかどうかといった点を重視するようになってきています。
7.データとレポート機能の評価
出張管理プログラムに適切なデータと可視性がなければ、上述の目標を達成することは困難です。企業は、分析ツールの徹底的な評価を行い、出張者の信頼度の測定やベンチマーク、フィードバックの集計、支出管理、規程遵守の促進など、最近優先度が高くなった目標を達成するために分析ツールを活用することができるか確認する必要があります。出張パターンやボリュームの変化の測定、より明確な支出管理、出張管理プログラムに関する意思決定は今後データ分析ツールに大きく依存するでしょう。
出張者のサポートには、個人情報の収集が必要です。それと同時に、企業がどのようにデータを収集し、処理するかについては、世界的に新しい規制が導入されており、ますます厳しく精査されるようになっています。データツールを評価する際には、ソリューションにデータセキュリティが組み込まれているか、新しい基準に準拠しているかを確認する必要があります。
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