COVID-19をきっかけとして、清掃や安全基準はホテルを選ぶ上で最も重要な決定要因の一つとなりました。出張者が宿泊先で快適に過すためには、ホテル側が宿泊客の安全を確保するためにできる限りの対策を講じているという安心感を宿泊客に持ってもらう必要があります。
GBTパートナーホテルのヒルトンは、衛生面における消費者の期待の高まりに応えるために、清掃と健康基準を強化した「ヒルトン・クリーンステイ」という基準を作成しました。ヒルトン新ブランド開発部門のグローバルヘッドであるフィル・コーデル氏に詳しい話を伺いました。
一貫性が信頼感を育み、信頼感が需要を促すとGBTは考えています。施設全体で一貫した基準が採用されていることを確認するために、ヒルトンではどのようなことを行ってきましたか?また、宿泊施設部門が一貫した基準に向けて努力していることを確認するために、業界全体でどのようなアプローチをとっていますか?
COVID-19が人々のレーダースクリーンの真ん中に現れ始めた3月に遡って振り返ってみると、その頃私たちはすでに清潔さやどのように宿泊するかに関するお客様の期待値が上がっていることを認識していました。ヒルトンは早くからこの点におけるリーダーシップを発揮したいと考え、AHLA (American Hotel & Lodging Association)と協力して、最終的にAHLAが全米で共有しているホテルのガイドラインについてアドバイスを提供しました。
この機会に、私たちは特に重要だと考える点をさらに掘り下げ、ヒルトンブランドにおける衛生基準を作成したのです。プロジェクトの最終的な成果であるヒルトン・クリーンステイプログラムは、到着からチェックアウトまでの宿泊体験の全ての領域に目を向け、私たちスタッフ自身の気づきとお客様からのフィードバックに基づき、特に重要な点についてしっかりと対応したものとなっています。
現在、クリーンステイプログラムは、103カ国、6,100以上のホテル、18ブランドすべてにグローバルに義務付けている一連のヒルトンブランドの衛生基準となっていて、ヒルトンブランドとしてどのホテルでも必ず実行しなければならない義務と考えています。また、私たちはいくつものモニタリングプログラムを実施していて、品質保証プロセスと宿泊客からのフィードバックシステムと組み合わせることで、基準がきちんと守られているかチェックするのに役立てています。
新たに導入された健康と旅行者のための安全対策はありますか?
いくつか例を挙げますと、エレベーター、ロビーなどの商業スペースでは、距離を置くための表示やガイドラインを設置しています。宿泊者が特に気になる身近なエリアであるゲストルームについては、部屋を徹底的に清掃することに加えて、「トップ10ホットスポット」と呼ばれる、リモコン、照明スイッチ、トイレの水洗ハンドルなど、最も頻繁に触れる場所の清掃を強化しています。この10のホットスポットについては、ライゾールの製品を使用して2回清掃しています。ライゾールはヒルトン・クリーンステイプログラムのパートナーです。ライゾールは130年の歴史を持ち、お客様の目には「保護」の象徴として映っています。先日、米国環境保護庁(EPA)がライゾールをCOVID-19に対する効果的な殺菌剤として認可したことを発表しています。
更にもう一歩踏み込んだ対策があります。ルームアテンダントが掃除した後に部屋を出るとき、清掃が終了してから他の人が誰も入っていないことを示すためにドアにシールを貼ります。宿泊客が最初に部屋に入ったときにこのシールが破られるのです。
ヒルトン・クリーンステイプログラムについての詳細をご覧になる場合は、こちらをクリックしてください。
ホテルはこのような対策をどの程度採用していますか?ホテル側はどのくらい受け入れていますか?
103カ国に施設がありますので、グローバルポリシーを全面的に採用する際にはローカルの必要性に合わせた細かい調整をする必要は若干ありました。
しかし、4月初旬まではまだ始まってもいなかった取り組みが、グローバルなレベルで実施できるようになったことは、とても嬉しく、誇りに思っています。私たちは、お客様に信頼感を持ってもらい、旅行しても大丈夫だと感じてもらうために、できることは全てしなければなりません。そのため、現場としては導入を待ち望んでいたものですし、実際に素晴らしい成果を収めていると考えます。
宿泊客の安全を守るための非接触技術はありますか?
ヒルトンでは、お客様にいくつかの非接触型体験を提供しています。ヒルトン・オナーズアプリ(導入ホテルのみ)を通じて、モバイルデバイスを使ってチェックインやチェックアウトをしたり、自分の部屋を選んだり、デジタルキーを使って自分の部屋に入室したりすることができます。また、デジタルキーの技術を使って、エレベーター、サイドドア、フィットネスセンターなど、通常はキーカードでアクセスするドアも開けることができます。また、ヒルトンの一部のホテルにはコネクティッドルームと呼ばれる技術を採用してます。この技術により、宿泊客は温度や照明の調節からテレビ、カーテンやブラインドの開閉まで、従来は客室内において手を使って行っていたほとんどのことをヒルトン・オナーズのアプリから管理することができます。
これはまだブランド標準ではありませんが、デジタル画面を使って飲食物を提供しているホテルも現在は相当数あり、宿泊者はQRコードで食事を注文できるようになっています。
スタッフの新しい衛生に関する研修やガイドラインはどのようなものがあるのでしょうか?
清掃手順の強化施策として、新しいハウスキーピングトレーニングとチェックリストを導入しましたので、それを強化版クリーンステイプログラムの基準を達成するための指針として利用しています。
ハウスキーピングについては、毎日、ソーシャルディスタンスを守りながらチームミーティングを行い、現地のガイドラインや安全性に関するホテル独自の最新情報をチームに伝えています。
衛生教育とは直接関係のないものの、ホスピタリティという意味では清掃と関連しているもう一つの取り組みとして、私たちのホテルでは現在、"代替的なおもてなしの方法 "と呼ばれるものを導入しています。以前は、ホテルに入ると、笑顔や握手で迎えてくれる人がいました。しかし、今の世の中ではそうはいきません。スタッフはフェイスシールドのようなものを身につけていますし、握手による個人的な接触はあまりできません。そのためホテルでは、胸に手を当てたり、お辞儀をしたり、ピースサインをしたりと、代わりになる方法やジェスチャーでおもてなしの気持ちを伝えるようになってきています。これは研修の一環としても取り入れています。
最後に、宿泊客が安心して快適に過ごして大丈夫だと思っていただけるために、伝えておきたいことはありますか?
サービス提供者として私たちにできることは、お客様が快適に過ごされるよう、ベースラインを強化することだけです。それによって、お客様が旅行を計画される際に、安心して計画を進めることができるでしょう。私たちが実施している取り組みについて包み隠さずにお伝えすることも、お客様に理解していただくのに役立つでしょう。そしてこれはクリーンステイプログラムの一番重要な部分でもあるのですが、「私たちが以前とは違う対応をしている点、または以前より強化して対応している点は、このようなことですよ」と具体的にお伝えしてご理解いただくことにあります。
私たちは、このような情報を何度もお伝えしています。お客様が予約をする時から実際にホテルに滞在される時まで、私たちがさらなる努力を払っていることをお客様に発信しています。
もちろんホテルは常に清潔にしてきましたが、私たちが実施してきたことの多くは、舞台裏で起こっていたり、お客様があまり馴染みのない製品を使っていたりすることがあります。私たちは医療用グレードの製品を多く使用してきましたが、それはお客様には馴染みのない製品です。お客様からいただいた感想は 「ねえ、私の家ではライゾールを使っているんだよ。あれのおかげで安心して快適に過ごせるよ。」です。
ですから、ご家庭と同じ商品を使っているということは、より強い安心感にもつながるんですね(訳注:上述にあるとおり、クリーンステイプログラムでは消毒にライゾールを使用しています)。
宿泊客ロイヤルティプログラムであるヒルトン・オナーズでは、1億600万人以上の会員コミュニティに安心感を与えるため、ヒルトン・オナーズアプリを利用した非接触技術の提供を始め、旅行が制限されている期間にステータス維持またはアップグレードを可能にできるよう、ステータスやポイント、2020年のロールオーバーナイトの有効期限の延長をするなど、最大限柔軟に対応しています。また、ヒルトン・オナーズ・アメリカン・エキスプレス・クレジットカードでは、カード会員をサポートするための機能強化も行っています。例えば、対象となるお買い物(あの大量の食料品代も!)で獲得したボーナスポイントを年末までベースポイントとしてカウントすることで、会員がより早くエリートステータスを達成できるようにしています(訳注:ヒルトン・オナーズ・アメリカン・エキスプレス・クレジットカードは日本では未導入)。
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